佛立本旨講妙應寺


寂光の道しるべ No.⑦お初穂の精神で家族の心をひとつに

日扇聖人ご教歌
仏前の香花燈明ふき掃除 すればわが身の福徳と成
本尊を祀ったお戒壇のことを、「ご宝前」と呼びます。家にご宝前が安置されるとは、生きていらっしゃる仏に敬いの心で仕える場所が出来る、という意味です。
仏に仕えるさまざまな作法を総称して「お給仕」と言います。毎日、お初水を取ってお供えし、ご飯を炊いたお初をお仏飯としてお供えする、などのことです。
このお給仕は、すべて「お初穂」を差し上げるという精神で行なうことを忘れてはなりません。お初穂とは、その年の初めての収穫という意味です。朝目が覚めたら身づくろいをすませ、先ず一番に仏に供えるお初水を取る、ご飯が炊けたら家族が食べるより先に、仏にお初をお供えする、といった具合です。
お戒壇の清掃も、埃がなければそれでいいという掃除とは違います。ご本尊は私たちを導いて下さる生きていらっしゃる仏なのですから、息がかからないようマスクを着け失礼のないように丁寧に磨く、これがお給仕です。
家族の誰かがご宝前に差し上げるお花を買ってきてくれる。子や孫が果物やお菓子のお初をご宝前に供えてくれる。こうなれば、家族にもお初穂を差し上げる敬い、お給仕の精神が定着したことになります。
これは、一家の中にみんなが共通して敬う秩序、家族の中心柱が出来たことを意味します。子供たちが大きくなると、生活のリズムも区々になり、家族そろって夕食を食べる機会さえ減ってゆく傾向にあります。
でも心配はありません。過ごす場所や時間帯がそれぞれになっても、ご宝前の敬いで心がひとつにつながっています。お初穂の精神や敬いの習慣は、後々まで子孫の心の支えになってくれることでしょう。

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