佛立本旨講妙應寺


寂光の道しるべ① 今を大切にすれば苦は乗り越えられる

日扇聖人ご教歌
くるしみの海にしづむと見えつるも
御法の浪にうかぶ諸人
生きている間には、生まれて来てよかったと思える幸福な時もあれば、生老病死という宿命的な苦しみに耐えねばならない時もあります。
幸福の時間は一瞬で過ぎてしまいますが、苦しみには長くさいなまれるもの。それを考えると、生きるとは苦との闘いです。
日常生活で感じる多くの苦しみは、人との関係がうまくとれない悩みや、この先どうなるのかという不安や孤独、病気や死に対する恐れ、或いは、言わなければ良かった、やらなければよかった、という失敗への後悔などが主なものでしょう。
つまり、病気や死への恐れ以外は自分の心の中から作り出される苦しみです。
となると、心の持ち方によって、苦しみを軽減することが出来るはずです。

それには、思い通りにならないことは考えないで、すでに恵まれている点に目を向けて感謝することから始めます。
今日も健康にめぐまれました、ありがとうございます。
今日も事故なく無事で過ごせて、ありがとうございます。
声に出してお礼を言う習慣をつけると、幸福を感じられる時間が増えて行きます。

仏は、因果の道理を説いています。
良い種まきをすれば幸いがやってくる、悪い種まきをすれば苦がやって来る、という道理です。
いくら苦しいからと言って。自分を卑下したり泣いたりしても、すこしも良い種まきになりません。ありがとうという感謝の心になって、笑顔で過ごすことが良い種まきになるのです。
先の不安を思って落ち込んで暮らすより、起こってしまった災難を嘆(なげ)いて暮らすより、抱えてしまった病気に泣いて暮らすより、今「ありがとうございます」という感謝の気持ちになって暮らす、
それが、それが先の運命を良くしてくれます。

信心は、苦しい時にこそ「ありがとうございます」と言える生き方を教わる道です。

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