佛立本旨講妙應寺


寒参詣について

お参詣ありがとうございます。
今朝は寒参詣についてお話をさせていただきます。
寒参詣は明治36年1月から日歓上人によって始められました。
日歓上人は御信者に御奉公目標を立てさせ寒参詣期間中御奉公成就の御看経を務めますから朝早く参詣ください、と勧めました。教えをそのまま頂き、寒参詣する人の中から御利益を頂く信者が増え、お教化もでき、ますますお寺が栄えるようになったと伝えられています。そして、それからずっと寒参詣は続けられてきましたからもう百年を超える伝統行事となりました。寒参詣は佐渡の酷寒に耐えながらも妙法蓮華経の真実を証明しようとする日蓮聖人の信仰に畏敬の念を払いまたそのご苦心を偲んで寒中一か月間を寒さに負けずに参詣に励もうという趣旨の報恩ご奉公です。ですから、ぜひとも年の初めに具体的な御奉公目標をたて、その目標達成のために予想される苦労を買ってでも、報恩ご奉公となる寒参詣に励む決意をして欲しいのです。お寺あげて励む寒参詣の功徳は大きく寒参詣を勧めた人も、決意した人も必ずや御利益のよろこびを体験できるものです。またこんなんに負けず寒参詣に励んだならば、体も心も鍛えられどんな逆境にもゆるがない信心に一歩近づくことができます。実際、寒参詣に気張り以前から腰の具合が悪く動作も不自由であったが全快した、長い間親子の関係が悪かったのが、子どもとの和解ができ一緒に御奉公させて頂ける様になった、など寒参詣で頂いた御利益が数多く報告されています。
 特に、家族や後続者の参詣を祈願して寒参詣に自ら気張りその喜びの心で参詣将引し続けましょう。今年の妙應寺の寒参詣は標語を募集してお互い参詣させて頂こうという機運を盛り上げようと進めています。ぜひ、一句でも投稿して参詣の思い、参詣将引の思いを高めてください。昭和36年の轉教2月号、日尚上人の文章の一文の一部を紹介します。私にとって忘れられない人がたくさんいますが、その中の一人藤井ますさんについて述べます。裕福な家庭のお嬢さんとして生まれたますさんは、人のうらやむほどの才媛であり、蝶よ花よと育てられました。やがて結婚して幸せな家庭を作られたのです。しかし、それはほんの束の間で運命の歯車の回転は意外にもはやくやってきました。原因はよくわからないのですが、ますさんは不幸にも脱疽に罹ってしまいました。当時の医学では結局片足切断ということでやっと一命をとりとめました。下り坂をころがるように、幸せな家庭も一つの破たんを生む結果となってしまいました。教養の誉れ高きますさんがある日私に寄せた一句それは、「お参りの できる幸せ 寒修行」、という句でした。いつの頃の入信か定かではありませんが、 名ばかりでもともかく大阪明光寺の信徒であったことで寒修行という言葉を使ったのでしょう。今まで何度もお役中から誘われ 教えられながら何かと理由をつけてお参りを断ってきたのでした。今病を得てわが身の果報のはかなさに気づき心を入れ替えてお参りをしたくても不自由な身となって気は焦るばかり、人の世話にならず自力でどんどんお参りできることはなんと素晴らしい事だろう、なんと幸せなことだろう、という感銘を詠んだ句です。こういう運命の急降下に直面して今までの幸せを思い知らされたということが分かればこの句はしみじみと私どもの心に響いてきます。当時まだ二十歳だった私ですが、藤井ますさんの一句をいまでも忘れることはありません。時々思い出しては我を戒めているのです、と無常について一例をあげて教えて下さっております。
 1月6日から妙應寺の寒参詣です。できるとき精一杯気張り功徳を積みたいものです。轉教1月号のご奉公のすすめで寒参詣開始を改めてご披露します。寒参詣は1月6日金曜日から2月5日日曜日までです。勤行は平常通り朝7時から8時半まで、ご法門は7時45分、日曜日には御利益談の発表があります。寒参詣は百年を越える伝統のある信者の大事な修行です。「信者一年の計は寒参詣にあり」です。家族の協力で参詣を続ける工夫を凝らすとよいでしょう。

是非家族協力で実行してください。最後に開導聖人をご指南を拝読させていただきます。
「冬の寒き夜、ねむたきと起きにくきは誰も同じ。
 心一つの置き所にて、ねむたきに勝つと 起きにくきに負けるとのあやなり」

平成29年1月5日
糠谷信章師

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